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立体角とは

本項では、以下の内容について解説します。

  • ・立体角の定義
  • ・円錐の頂点の角度と立体角の変換
  • ・立体角の計算例

【1】立体角の求め方

立体角とは、球面上のある部分の面積に対し、球の中心からどの程度の広がりを持つかを表現する量です。

立体角\(\large{\Omega}\)は、図1のような中心\(\large{C}\)、半径\(\large{r}\)の球面上において、ある部分の面積を\(\large{S}\)としたとき、以下の式により求められます。

【立体角の定義】
\(\large{\displaystyle \Omega=\frac{S}{r^2}\hspace{20pt}(1)}\)

立体角の定義

図1.立体角の定義

立体角の単位には[sr] (ステラジアン/steradian)を使用します。

測光の分野では、立体角は光源から放射される光束の広がり角、もしくは受光面への集光角を表す量として使用されます。

例えば、光度は「点光源から放出される単位立体角あたり光の明るさ」を意味します。光度はカンデラ[cd]という単位を使用し、1ステラジアン[sr]あたりに1ルーメン[lm]の光束があるときに1カンデラ[cd]となります。

【2】円錐の頂点の角度と立体角の変換

光学の分野では、図2のような円錐の頂点の角度を、立体角に変換して計算することがあります。
本章では『円錐の頂点の角度\(\large{u}\)』と『立体角\(\large{\Omega}\)』の変換式を導きます。

図2のような球面上のある面積に対する円錐の頂点の角度が\(\large{u}\)であるときの立体角\(\large{\Omega}\)を求めます。(角度\(\large{u}\)は円錐の頂点の半頂角を表します。)
半角と立体角の関係

図2.円錐の頂点の角度と立体角の関係

まず、微小な角度\(\large{du}\)によって計算される球面上の円環の面積\(\large{ds}\)を求めます。

円環の幅は、\(\large{du}\)と半径\(\large{r}\)から\(\large{r・du}\)となります。
また、図2より円環の半径が\(\large{r・\sin u}\)であるため、円環の円周は\(\large{2\pi r\sin u}\)となります。以上から、円環の面積\(\large{ds}\)は(2)式のようになります。 $$\large{ds=2\pi r\sin u・rdu\hspace{20pt}(2)}$$

(2)式の円環の面積を角度\(\large{u}\)で積分することで、頂点の角度\(\large{u}\)の円錐の球面上の面積\(\large{S}\)を求めます。 \begin{eqnarray} \large S&=&\int_0^u 2\pi r\sin u・rdu \\ \large &=&2\pi r^2 \int_0^u \sin udu \\ \large &=&2\pi r^2 (1-\cos u) \end{eqnarray}

円錐の球面上の面積\(\large{S}\)を立体角の定義式(1)に代入し、立体角\(\large{\Omega}\)を計算すると以下のようなります。 \begin{eqnarray} \large \Omega&=&\frac{S}{r^2}\\[5pt] \large &=&\frac{2\pi r^2 (1-\cos u)}{r^2}\\[5pt] \large &=&2\pi (1-\cos u) \end{eqnarray}

以上より、頂点の角度\(\large{u}\)に対する立体角\(\large{\Omega}\)の変換式が得られます。

【頂点の角度と立体角の関係】
$$\large{\displaystyle \Omega = 2\pi (1-\cos u)\hspace{20pt}(3)}$$

【3】立体角の計算例

本章では、立体角の計算例について解説します。

・球面全体の立体角

球面全体の立体角\(\large{\Omega}\)を求めます。
立体角の定義式(1)から求める場合、半径\(\large{r}\)の球全体の表面積は\(\large{S=4\pi r^2}\)であるため、立体角は以下のように求められます。 $$\large{ \Omega=\frac{4\pi r^2}{r^2}=4\pi[sr]}$$

また、頂点の角度と立体角の関係式(3)から求める場合、\(\large{u=\pi}\)を代入すると、球全体の立体角を求められます。 $$\large{ \Omega=2\pi (1-\cos (\pi)) = 4\pi[sr]}$$

全球の立体角が\(\large{\Omega=4\pi}\)であることから、立体角のとりうる最大値は\(\large{4\pi}\)であることが分かります。

・半球の立体角

半球の立体角\(\large{\Omega}\)を求めます。
立体角の定義式(1)から求める場合、半径\(\large{r}\)の半球の表面積は\(\large{S=2\pi r^2}\)であるため、立体角は以下のように求められます。 $$\large{ \Omega=\frac{2\pi r^2}{r^2}=2\pi[sr]}$$

また、頂点の角度と立体角の関係式(3)から求める場合、\(\large{u=\frac{\pi}{2}}\)を代入すると、半球の立体角を求められます。 $$\large{ \Omega=2\pi (1-\cos \left(\frac{\pi}{2}\right)) = 2\pi[sr]}$$

・1ステラジアンの表面積

次に、立体角の単位である1ステラジアン(\(\large{1[sr]}\))となる球の表面積を求めます。

半径\(\large{r}\)の球の表面積の\(\large{a}\)倍が1ステラジアンであるとすると、立体角の定義式から以下が成り立ちます。 $$\large{ 1=\frac{Sa}{r^2}=\frac{4\pi r^2a}{r^2}=4 \pi a}$$ したがって、1ステラジアンは球全体の面積の\(\large{\frac{1}{4 \pi}=0.079577...}\)倍の面積であることが分かります。


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