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積分区間に定数aを含む二次関数の定積分の最小値

◆第問目！

【 数Ⅱ : 難易度 ★★★ 】
　次の問いに答えよ。ただし、\({a > 0 \hspace{2pt}}\)とする
　　(1) 定積分\(\displaystyle \hspace{2pt}\int_{a}^{a+1} |x^2-1| dx\hspace{2pt}\)を求めよ
　　(2) (1)の定積分の最小値とそのときの\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)を求めよ

被積分関数に絶対値記号を含む場合、絶対値を外して積分する必要があります。

絶対値記号は、中身が正か負かで場合分けをすることで外すことができます。 $$|x| = \begin{dcases} x & ( x \geqq 0 ) \\ -x & ( x \lt 0 ) \end{dcases} $$

本問では被積分関数の\({\hspace{1pt}y=x^2-1\hspace{2pt}}\)のグラフを描き、積分区間\(\hspace{1pt}[a , a+1]\hspace{1pt}\)との位置関係によって場合分けすることで絶対値記号を外します。

問題(1)の結果から $${f(a) = \int_{a}^{a+1} |x^2-1| dx}$$ とおいて、\(f(a)\hspace{1pt}\)の増減表を作成して最小値を求めます。

【問題(1)の答え】
　\({0 < a < 1 \hspace{2pt}}\)のとき
　　\({\displaystyle \frac{2}{3}a^3 +a^2 -a + \frac{2}{3}}\)

　\({a \geqq 1\hspace{2pt}}\)のとき
　　\({\displaystyle a^2 +a - \frac{2}{3}}\)
　

【問題(2)の答え】

　\(\displaystyle a = \frac{-1 + \sqrt{3}}{2}\hspace{2pt}\)のとき最小値\(\displaystyle\hspace{2pt} \frac{8-3\sqrt{3}}{6}\)
　

【解答のポイント】
絶対値記号を含む定積分の問題は、絶対値記号を外して積分する必要があります。

絶対値記号は、中身が正か負かで場合分けをすることで外すことができます。 $$|x| = \begin{dcases} x & ( x \geqq 0 ) \\ -x & ( x \lt 0 ) \end{dcases} $$

問題を解くときは、まず\({\hspace{1pt}y=x^2-1\hspace{2pt}}\)のグラフを描くことで符号が変化するイメージがしやすくなります。

本問では積分区間に定数\(\hspace{1pt}a \hspace{1pt}\)が含まれることから、定数\(\hspace{1pt}a \hspace{1pt}\)の値によって場合分けして絶対値記号を外します。
　

【問題(1)の解答】
　問題 : 『次の問いに答えよ。ただし、\({a > 0 \hspace{2pt}}\)とする
　　(1) 定積分\(\displaystyle \hspace{2pt}\int_{a}^{a+1} |x^2-1| dx\hspace{2pt}\)を求めよ
　　(2) (1)の定積分の最小値とそのときの\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)を求めよ』
　

まず、被積分関数を因数分解すると

$$ \begin{aligned} \hspace{10pt}& \int_{a}^{a+1} |x^2 - 1|dx\\[1em] &= \int_{a}^{a+1} |(x+1)(x-1)|dx\\[1em] \end{aligned} $$

となります。

つまり、関数\({\hspace{1pt}y=x^2-1\hspace{2pt}}\)は\({\hspace{1pt}x\hspace{2pt}}\)軸と\({\hspace{1pt}x=1,-1\hspace{2pt}}\)で交点を持ちます。

ここで、積分区間が\({\hspace{1pt}[a,a+1]\hspace{2pt}}\)であることから、この積分区間と\({\hspace{1pt}x=1\hspace{2pt}}\)との位置関係により絶対値記号の外し方が変わります。

関数\({\hspace{1pt}y=x^2-1\hspace{2pt}}\)のグラフを、積分区間\({\hspace{1pt}[a,a+1]\hspace{2pt}}\)と\({\hspace{1pt}x=1\hspace{2pt}}\)の位置関係により\(\hspace{1pt}2\hspace{1pt}\)つに分けて描くと、以下のようになります。
積分区間に定数aを含む絶対値付きの二次関数の最小値

上図から、定数\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)の値により以下のように場合分けをして定積分を求めます。
　　[1] \({0 < a < 1 \hspace{2pt}}\)のとき
　　[2] \({a \geqq 1 \hspace{2pt}}\)のとき
　

【\({0 < a < 1 \hspace{2pt}}\)のとき】
\({a < x < 1 \hspace{2pt}}\)のとき $${|x^2-1|=-x^2+1}$$ \({1 \leqq x < a+1 \hspace{2pt}}\)のとき $${|x^2-1|=x^2-1}$$ であることから

$$ \begin{aligned} \hspace{10pt}& \int_{a}^{a+1} |x^2-1|\hspace{1pt}dx\\[1em] &= \int_{a}^{1} (-x^2 +1)\hspace{1pt}dx + \int_{1}^{a+1} (x^2 -1)\hspace{1pt}dx \\[1em] & = \left[-\frac{1}{3}x^3 + x \right]_a^1 + \left[\frac{1}{3}x^3 - x \right]_1^{a+1} \\[1.0em] & = -\frac{1}{3}(1-a^3) + 1-a +\frac{1}{3}\{(a+1)^3 -1\} -a\\[1.0em] & = \frac{2}{3}a^3 +a^2 -a + \frac{2}{3}\\[1.0em] \end{aligned} $$

【\({a \geqq 1\hspace{2pt}}\)のとき】
\({a \leqq x \leqq a+1\hspace{1pt}}\)のとき $${|x^2 -1|= x^2 -1}$$ であることから

$$ \begin{aligned} \hspace{10pt}& \int_{a}^{a+1} |x^2 -1|\hspace{1pt}dx\\[1em] &= \int_{a}^{a+1} (x^2 -1)\hspace{1pt}dx \\[1em] & = \left[\frac{1}{3}x^3-x \right]_a^{a+1} \\[1.0em] & = \frac{1}{3} \{ (a+1)^3 - a^3 \} -\{(a+1)-a\} \hspace{10pt}\\[1.0em] & = a^2 +a - \frac{2}{3}\\[1.0em] \end{aligned} $$

以上から
\({0 < a < 1 \hspace{2pt}}\)のとき $${ \frac{2}{3}a^3 +a^2 -a + \frac{2}{3}}$$ \({a \geqq 1\hspace{2pt}}\)のとき $${ a^2 +a - \frac{2}{3}}$$
　

【問題(2)の解答】
　問題 : 『次の問いに答えよ。ただし、\({a > 0 \hspace{2pt}}\)とする
　　(1) 定積分\(\displaystyle \hspace{2pt}\int_{a}^{a+1} |x^2-1| dx\hspace{2pt}\)を求めよ
　　(2) (1)の定積分の最小値とそのときの\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)を求めよ』
　

　\(\displaystyle f(a) = \int_{a}^{a+1} |x^2-1| dx\hspace{1pt}\)とおき、\(f(a)\hspace{1pt}\)の増減表を作成することで最小値を求めます。
　

・\({0 < a < 1\hspace{2pt}}\)のとき
　\(\displaystyle \hspace{1pt}f(a) = \frac{2}{3}a^3 +a^2 -a + \frac{2}{3}\hspace{1pt}\)を\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)で微分すると $$\displaystyle \hspace{1pt}f'(a)= 2a^2+2a-1\hspace{1pt}$$ 　となります。

　\(f'(a) = 0\hspace{1pt}\)を解くと

$${\hspace{10pt}\left(a - \frac{-1 + \sqrt{3}}{2}\right) \left(a - \frac{-1 - \sqrt{3}}{2} \right) = 0 \hspace{10pt}}$$

から、\(\displaystyle a = \frac{-1 + \sqrt{3}}{2} \hspace{1pt}\)となります。

　\(\displaystyle 0 < a < \frac{-1 + \sqrt{3}}{2}\hspace{2pt}\)において\(\hspace{2pt}f'(a) < 0\hspace{1pt}\)、\(\displaystyle \frac{-1 + \sqrt{3}}{2} < a < 1 \hspace{2pt}\)において\(\hspace{2pt}f'(a) > 0\hspace{2pt}\)となることから、\(f(a)\hspace{2pt}\)は\(\displaystyle \hspace{2pt} a =\frac{-1 + \sqrt{3}}{2} \hspace{2pt}\)で極小値となります。
　

・\({a \geqq 1\hspace{2pt}}\)のとき
　\(\displaystyle \hspace{1pt}f(a) = a^2 +a - \frac{2}{3}\hspace{1pt}\)を\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)で微分すると $$\displaystyle \hspace{1pt}f'(a)= 2a+1\hspace{1pt}$$ 　となります。

　すなわち、常に\(\hspace{1pt}f'(a)>0\hspace{1pt}\)であるため、\(f(a)\hspace{1pt}\)は単調増加となります。
　

以上から、\(f(a)\hspace{1pt}\)の増減表は以下のようになります。 積分区間に定数aを含む絶対値付きの二次関数の定積分の増減表

よって、問題の定積分は\(\displaystyle\hspace{1pt}a = \frac{-1 + \sqrt{3}}{2}\hspace{1pt}\)のとき最小値となり、その値は\(\displaystyle\hspace{1pt} \frac{8-3\sqrt{3}}{6}\hspace{1pt}\)となります。
　

【入試本番に向けたアドバイス】
本問は定数\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)を含んだ絶対値付きの定積分 $${\int_{a}^{a+1} |x^2-1| dx}$$ を求め、\(a\hspace{1pt}\)を変数とみなして定積分の最小値を求める問題です。

このように『定数を含んだ絶対値付きの定積分の最小値・最大値を求める問題』は、数学Ⅱの入試問題で非常に出題頻度の高いパターンのため、必ず解けるようにしておきましょう。

定積分の最小値・最大値を求める問題の基本的な方針は以下のような手順となります。
　① 被積分関数のグラフを描く
　② 必要であれば、定数によって場合分けする
　③ 絶対値記号を外して積分する
　④ \(f(a) = \cdots \hspace{2pt}\)とおいて\(\hspace{1pt}f(a)\hspace{1pt}\)の増減表を作る

類題としては $${\int_{0}^{1} |x^2-ax| dx}$$ のように被積分関数に定数\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)が含まれている場合 $${\int_{0}^{a} |x^2-1| dx}$$ のように積分区間の片側に定数\(\hspace{1pt}a\hspace{1pt}\)が含まれている場合 $${\int_{0}^{1} |x - \sin \theta| dx}$$ のように定数を\(\hspace{1pt}\theta\hspace{1pt}\)として三角関数を含む場合などがあります。

絶対値付きの定積分の最小値・最大値の問題は初見では難しそうに思えますが、解答の方針さえ覚えていれば計算自体は難しくない場合が多いです。
問題を何度か解いて慣れておくようにしておきましょう。
　

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